元素を原子量の順に並べると、周期的に性質の似通った元素が現れる。これを周期律(periodic law)という。そのことを利用して、知られている全元素を配列したものが周期表で、「化学のバイブル」と呼ばれており、1869年に現行のものに近い周期律を提案したロシアの化学者D.I.メンデレーエフのものが最も広く用いられている。周期律が、各元素をつくる原子の電子配置に基づいて成立することは、20世紀に入ってデンマークの物理学者N.ボーアらの研究によって明らかになった。メンデレーエフの時代に知られていた元素は60種強であったが、新元素が次第に発見され、現在では110種強の元素が含まれている。
福島第一原子力発電所事故以来、セシウムとかキセノンといった、あまりなじみのない元素の名前を目にする。これらの元素がもっと身近な元素とどういう関係にあるかを知るよい手がかりが周期表である。周期表を見れば、セシウムはナトリウムやカリウムの、キセノンはネオンの仲間であることが一目瞭然である。セシウムの化合物の多くは水溶性であり、生体内での振る舞いはカリウムに似ているから、体内に入ると体中に分配され、ベータ線による内部被曝を起こす。