バイオマス(生物体 biomass)がもつエネルギーを利用した燃料の総称。枯渇性資源である化石燃料の代替として、また新たに二酸化炭素を排出しない「カーボンニュートラル(carbon neutral)」の点で、自動車や航空機の代替燃料として、研究やある程度の規模の生産の試みの歴史は長い。しかし、第一世代のバイオ燃料はトウモロコシやサトウキビ、大豆などの発酵で得られるバイオエタノール(bioethanol)であり、トウモロコシなど農産物の価格の大幅上昇を引き起こすなど、食料との競合が問題となった。そこで、第二世代のバイオ燃料、すなわち食料にならない廃材やわら、トウモロコシの茎、間伐材のセルロース(繊維素 cellulose 植物の細胞壁を構成する非常に強固な多糖)を熱や真菌による前処理で分解してから発酵させるセルロースエタノール(cellulosic ethanol)の経済的生産法の開発が望まれる。さらに注目されているのは、非食料のバイオマスを水素と一酸化炭素に分解し、これを原料として触媒反応によって液体炭化水素に変換するという、1932年に発表されたフィッシャー・トロプシュ法(FT法 Fischer-Tropsch process)を利用する方法である。なお、海藻類を原料とする第三世代バイオ燃料の開発も今後期待される分野である。