加熱によって硬化し、硬化後は再び加熱しても軟化せず、そのままの形を保つプラスチックの総称。原料のモノマー(重合性の単分子)や部分的に重合したポリマー中間反応物(分子量数十万から数百万の高分子)に、架橋を促進する触媒などを配合して金型に入れ、加圧、加熱して直接反応させ、成形加工したものである。硬化後も加熱によって軟化する熱可塑性樹脂と異なり、分子間の架橋によって三次元網目状構造をしているため、耐熱性があり、成形後は加熱しても軟化せず、耐薬品性、絶縁性もよい。たとえば、ベークライト(bakelite)は1910年に工業化された最も古い熱硬化性樹脂であり、フェノールとホルムアルデヒドとの付加・縮合重合によって作られたもので、熱硬化樹脂の一つとして知られるフェノール樹脂(phenol resin)の代表格である。広い温度範囲に対して安定で、絶縁性もよく、自動車や電気部品として使用されている。
アミノ樹脂(amino resin)はアミノ基(-NH2)をもつ熱硬化樹脂で、尿素やメラミンとホルムアルデヒドとの反応で作られ、それぞれ尿素樹脂(urea resin)、メラミン樹脂(melamine resin)とよばれており、木材の接着剤、食器などに使われている。また、エポキシ樹脂(epoxy resin)はエポキシ基()を二つ以上もつポリマーで、アミノ基などを二つもつ硬化剤と混合して硬化させ、電気部品や塗料、接着剤などに使われている。ポリウレタン樹脂(polyurethane resin)はジイソシアネート(O=C=N-R-N=C=O)とジオール類(HO-R'-OH)から作られ、ウレタン結合(-NH-CO-O-)をもつもので、柔軟性、強靭性、低温特性があり、ソファ、冷蔵庫の断熱材に使用されている。それ以外にも、金属に匹敵する機械強度をもつ不飽和ポリエステル樹脂(unsaturated polyester resin)、超耐熱性のあるポリイミド樹脂(polyimide resin)などがある。