光のエネルギーによって硬化する樹脂。光に反応する光重合開始剤(photopolymerization initiators)を引き金に、液体状のモノマー(重合性の単分子)とオリゴマー(重合性の基をもつ低重合体)の混合物を連鎖的に重合させ、網目状構造のポリマー(高分子)を作って硬化する。重合開始剤には紫外線によってラジカル(強いエネルギーで分解された分子が、不対電子をもった不安定な物質になった状態)を生じるベンゾインなどが、モノマーにはアクリロイル基(CH2=CH-CO-)をもつアクリレートなどが、またオリゴマーには端にいくつかのアクリロイル基が付いたウレタンやエポキシの低重合体などが用いられる。光硬化樹脂に利用できるモノマーやオリゴマーは多数知られており、その組み合わせは無数にある。
光硬化樹脂の特徴は、(1)数秒で硬化させることもでき、硬化速度が速い、(2)モノマーとオリゴマーの割合を加減して粘度が調整でき、溶媒が不要である、(3)光を当てた所だけ硬化するので、パターン形成ができる、などである。印刷インキや塗料などでは、短時間で硬化し、溶剤を使用しなくてすむので、熱硬化樹脂に比べてエネルギー消費や環境への負荷が少ない。光硬化樹脂の(3)の特性は微細加工を可能にし、プリント配線、半導体集積回路など、エレクトロニクスの分野の発展に貢献した。この特性は印刷の分野でも印刷版の作成に画期的な変化をもたらした。さらに、印刷版での平面走査露光を三次元に展開し、光造形(photofabrication)による3Dプリント(3D