トリカルボン酸回路(TCA回路 tricarboxylic acid cycle)または発見者H.A.クレブスの名をとってクレブス回路(Krebs cycle)ともいう。有機物を酸素を用いて二酸化炭素と水に分解する過程で、一連の酵素反応が環状につながり、その間を一巡する間に物質が完全に分解されるので、回路と名付けられた。細胞呼吸では、ブドウ糖が解糖系でピルビン酸に分解され、ピルビン酸が二酸化炭素を失ってアセチル補酵素Aという形になり、クエン酸回路に入る。アセチル補酵素Aはオキサロ酢酸と合体してクエン酸となり、クエン酸がこの回路を回り、脱炭酸(二酸化炭素を生じる)と脱水素されてオキサロ酢酸になる。つまり、一巡の間にアセチル補酵素Aが分解される。この回路で生じた水素(電子)が電子伝達系に送られ、電子伝達の間にATPがつくられる。この過程を酸化的リン酸化(oxidative phosphorylation)という。