細胞死の一つで、生育環境の悪化などで起こるネクローシス以外の死。細胞の縮小から始まり、それにより隣接する細胞間にすき間が生じる。細胞内では核のDNAの断片化が起こり、最後に細胞を断片化してアポトーシス小体とよばれるものになり、この小体は近くの細胞に食われてしまう。動物体内の発生・分化の過程で、遺伝的なプログラムに基づいて起こる細胞死をプログラム細胞死(PCD programmed cell death)といい、アポトーシスと同様な過程が見られるので、両者を同意に用いる人もあるが、アポトーシスはがん細胞内の細胞消失、エイズウイルスなどの感染を受けた細胞の死など、PCD以外の場合でも起こる。PCDは発生のある段階で致死遺伝子が働き出してその細胞が死ぬ場合などである。ヒトでは胎児の初期に手や足はしゃもじのような形をしていて指の股に当たる部分がないが、後期にその部分にあった細胞がPCDを起こして、手や足の指の股ができる。運動神経の細胞では、末端が筋肉細胞にとりついたものだけが生き残り、他はPCDにいたる。