更新ともいう。生物群集や生態系にみられる時間的な移り変わりをいう。ふつう遷移は、植物群落を中心に調べられているが、群落の遷移にともなって、そこで生活する動物群集も変化する。植物群落の遷移には、火山の爆発で生じた溶岩台地のような乾燥した土地から始まる乾性遷移と、湖沼や池など水分の多いところから始まる湿性遷移に分けられる。乾性遷移の典型的な場合は、藻類、地衣類、コケ類、一年生草本、多年生草本の草原、陽樹林と変化し、最後に陰樹林で安定する。この最終的に安定した状態を極相(クライマックス climax)という。湿性遷移では、湖沼などで水分の補給が弱まると、植物プランクトンなどが増え、泥土が堆積して浅くなる。底に光が届くと植物がはえ、その遺体や泥が堆積し、沼沢植物がはえてくる。こうして、湿地は草原にかわり、草原はその後乾性遷移と同様な経路で最終的には極相になる。しかし、実際には人間による干渉やその土地の気候などで遷移のしかたは変化する。