遺伝子、種、生活場所、景観などのレベルで、多様な生物が存在すること。もともとは生物学者が提唱した用語であるが、1992年にリオデジャネイロで開催されたいわゆる環境サミットで、生物多様性条約が採択されてから、社会問題としても論じられるようになった。種の大量絶滅や衰退、生物相や生態系の地球規模での急激な変質といった危機的な事態を憂慮する立場から、この問題が取り上げられている。多様性を維持するためには、生物学の多様な分野での協力による総合的な研究が必要であり、生物と環境の関係を分析し、種の保全をはかろうとする保全生物学(conservation biology)が提唱されている。