下垂体ともいう。脊椎動物の間脳の下部にぶら下がるようについている内分泌器官で、他の内分泌器官のホルモン分泌を支配する中枢のような役割をしている。主に前葉、中葉、後葉の3部分より成るが、全体は一様の構造ではなく、発生的に起源の異なる2つの部分が合体してつくられたものである。前葉と中葉は腺細胞から成る部分で、後葉は間脳の視床下部に由来する神経繊維が分布した神経組織に類似している。前葉は内分泌中枢ともいえるもので、甲状腺、副腎皮質、生殖腺の刺激ホルモンなど、他の内分泌器官の働きを支配するホルモンを分泌する。後葉は子宮収縮ホルモン、血圧上昇ホルモンなどを分泌するが、これらは後葉で形成される物質ではなく、視床下部で形成され、顆粒の形で神経繊維を伝わって輸送され、後葉の組織内に蓄えられるものである。中葉は変温脊椎動物の皮膚にある色素胞の行動に影響するホルモンを分泌する。