代表的な植物ホルモンで、伸長成長を促進する働きがある。マカラスムギの幼葉鞘が光の方向へ曲がる屈性で、光の刺激を伝達する物質として発見され、その後植物の成長を調節する物質であることがわかった。本体はインドール酢酸で、一般に低濃度で成長を促進し、高濃度では阻害する。植物の茎の成長だけでなく、根が下方へ伸びるのにも関係している。オーキシンは細胞壁のゆるみと吸水の促進により、細胞容積の増大を起こさせ、サイトカイニンとも協同して、形成層を活性化し、細胞分裂を刺激する。その他、果実の成長、落葉や側芽の発生の制御などにも関与する。インドール酢酸と類似した構造をもつ物質が人工的に合成され、農業や園芸に用いられている。例えば、2,4-ジクロロフェノキシ酢酸(2,4-D)は、双子葉類の成長を阻害し、単子葉類の成長は阻害しないので、芝生などの除草剤として広く用いられている。