動物の体内でつくられ、体外放出されて、同種の個体の行動や生理的な変化を起こさせる物質。ホルモンが体内に分泌されるのに対し、体外に放出される点が大きく異なる。代表的なフェロモンは、チョウやガの仲間の鱗翅目が出す性フェロモンで、雌が分泌し、雄を引き寄せる。この性ホルモンの働きをもつ物質を合成して、有害な昆虫を捕らえる農薬も開発されている。性フェロモンのほかにも、アリが仲間に餌の在りかを知らせる道しるべフェロモンなど、昆虫の多様な行動にフェロモンが関与している。脊椎動物でもシカがフェロモンを木になすりつけたり、イヌやネコが放尿によるマーキングをしたりするのもフェロモンが関与している。ヒトの女性が性フェロモンを分泌するという報告もあるが、疑問も出されている。