微生物や動物組織による発酵や解糖が、酸素により阻害される現象。フランスの細菌学者、パスツールにより発見されたのでこの名がつけられた。細胞のエネルギー源であるアデノシン三リン酸(ATP)は、解糖系よりもクエン酸回路を通る酸素呼吸のほうが、はるかに多量に作られる。細胞が必要とするエネルギー量はふつうほぼ一定なので、ATP生成量が多い呼吸が行われている場合、解糖は抑制されても差し支えないと考えられる。したがって、この作用は、グルコースやグリコーゲンなどのエネルギー源の無駄な消費を防ぐ働きとも考えられている。