植物の葉でつくられ、茎頂や腋芽に送られて花芽の形成を起こさせる球状たんぱく質で、これを使って開花を早めたり遅らせたりすることができる。1936年に、旧ソ連の科学者チャイラヒャンが、花芽の分化を誘発する植物ホルモンの一種として想定し、こう名付けた。花成ホルモン(flowering hormone)ともいい、その後、長い間実体が不明で、「幻の植物ホルモン」とも呼ばれた。シロイヌナズナやイネを使った研究から、2007年になって、分子量約2万の小さな球状たんぱく質であることが明らかになり、また葉の維管束でつくられることもわかった。11年になって、花だけではなく、ジャガイモの成長にも関係しているとの発表がなされたが、その詳細な仕組みはまだわかっていない。