200年前にカント(Immanuel Kant 1724~1804)は、現在のグローバリゼーションを予告している(「永遠平和のために」1795年)。人類は平和な交通を積み重ねることで、徐々に世界市民体制へと近づく。その前段階が国家連合であり、それを超えるとき、人類は唯一の世界連邦、または世界国家に近づく。地球上のすべての個人は、世界国家(コスモポリス)のメンバーになる。すべての政治的業務は、世界的規模の共同管理あるいは共同統治となる。それだけが人類に永遠平和をもたらす、とカントは述べた。
フランス革命(1789年7月14日~99年11月9日 ブリュメール18日)の同時代人であったが、まだ絶対主義体制を温存させていたドイツの市民としてのカントにとっては、国家連合ですら理想でしかなく、ましてや世界連邦や世界国家などは、夢のまた夢であった。しかし200年の紆余曲折を経た後では、カントの理想はいまや現実になろうとしている。永遠平和はまだ遠い。しかし現在の地球で起きている種々の民族紛争は、もうじき愚かな惑溺であったと思い知るときも近いだろう。これからの歴史は、コスモポリスへの一歩一歩となるだろうし、そのような世界認識が必要である。