真理ないし(善や正義などの)価値や規範が、何か(個人、文化、社会、時代など)と相対的にのみ成立し、その何かに応じて異ならざるをえないとする立場。古くは、「人間は万物の尺度である」というプロタゴラス(Protagoras BC494/88~BC424/18)の言葉に典型的に示されている。対立する立場の一つに、何らかの意味で真理や価値の普遍性を主張する普遍主義(universalism)がある。
思考や文化の多様性を顧みるとき、相対主義は説得力をもつ主張とも思われるが、古来その妥当性には多くの疑念が投げかけられてきた。相対主義はその妥当性を主張することでむしろ自らを否定するという自己論駁(ばく)の問題(プラトン)や、異なる文化や社会相互の批判・対話の可能性を否認するという点である。ただし普遍主義の側にも、例えば諸文化の多様性をいかに考慮しうるかという問題が突きつけられている。