構造主義は構造概念を使用して、社会と文化を分析する。それは思想ではなく人間科学の方法論である。最大の代表者はフランスの人類学者レヴィ=ストロース(Claude Lvi-Strauss 1908~2009)であり、その影響の下で精神分析のジャック・ラカン(Jacques Lacan 1901~81)、文学批評のロラン・バルト(Roland Barthes 1915~80)、マルクス主義のルイ・アルチュセール(Louis Althusser 1918~90)などが出た。
レヴィ=ストロースによれば、野生の思考は、自然種(動植物)の差異体系を記号として使用し、人間集団の差異体系を構築する。これを彼は「社会の起源はシンボリックである」と表現する。カースト社会では記号として使用される事物は人工物の差異体系であり、それが職集団のヒエラルキーを構築する。トーテム体系はカースト体系と相同であり、後者は前者の変換型である。一般に、構造は二つの差異シリーズ(自然と文化)の統合である。
他方、人間社会は構造(分類図式)を揺るがす出来事を経験する。構造は出来事を吸収して、出来事を分類図式のなかに位置づける。これが変換操作である。構造は不変のままで要素の組み合わせが変動するのみである。哲学的に言えば、構造は反復のなかで差異化し、脱構造化要因を抱える。構造主義は脱構造化なしにはありえない。ここからポスト構造主義の運動が出てきた。脱構造化の名前はいくつかあった(デリダの脱構築、フーコー(Michel Foucault 1926~84)の脱中心化、ドゥルーズ(Gilles Deleuze 1925~95)の差異と反復など)。哲学としてのポスト構造主義は科学的構造主義に内在し、それの構成要素である。