ポストコロニアルとは、端的に「植民地(主義)以降」という意味であり、現代世界は定義によってポストコロニアルである。また、ポストコロニアリズムとは、ポストコロニアル世界における現状批判と変革の思想一般および実践一般をさす。ポストコロニアリズムには、さまざまな政治的立場があり、一様ではない。だが近年では、集団間のさまざまな差異を互いに尊重しつつ、建設的な対話や交渉を通じてそれらを横断すること、また、あらゆる被抑圧者の立場に身を置きつつ、現存する抑圧的秩序の暴力に絶えず抵抗し続けることを目標に掲げる立場が主流となっている。つまり、ポストコロニアリズムとは、世界の不平等構造の全体を問題化しながら、公正で正義に適った世界の確立を目指す運動である。