共産主義。広義には、私的所有を廃止し、財産の共有を理想とする立場。古くは、プラトン(Platn BC428/7~348/7)の理想国家において、男女の職務・教育の平等、妻子の共有が唱えられ、近世以降でも、トマス・モア(Thomas More 1478~1535)が、財産と労働を共有し、競争のない国家をユートピアとして描いた。フーリエ(Franois Marie Charles Fourier 1772~1837)は、ファランジュと呼ばれる協同体(アソシエーション)を構想して、その思想は後に「空想的社会主義」と呼ばれた。また、パリ・コミューンなどのコミューン(commune)運動を通じて、自由・平等・友愛の精神が後世の共産主義思想へと伝えられた。
しかし、コミュニズムは、狭義には、生産手段の私的所有を廃止し、資本主義に代わる社会を構築しようとする立場を指す。マルクス(Karl Heinrich Marx 1818~83)は、資本家階級であるブルジョアジーの支配から、無産者階級であるプロレタリアートを解放することが共産主義の目標であるとした。生産手段が共有でも労働に応じて配分がなされる段階はまだ社会主義であり、各人の欲望に応じて配分されるのが高次の共産主義である。レーニン(Vladimir Ilyich Lenin 1870~1924)は、エンゲルス(Friedrich Engels 1820~95)の、プロレタリアート独裁の結果として国家は死滅するという主張を発展させ、国家は暴力革命によって廃絶されなければならないとした。