19世紀後半のアメリカに生まれた思想であり、功利主義、実証主義、自然主義の傾向をもつ。その祖とされる哲学者パース(Charles Sanders Peirce 1839~1914)は伝統的な認識論を批判し、人間の行為に影響をあたえうるものにのみ意味を認める認識論を展開した。ジェームズ(William James 1842~1910)はこうした発想を真理概念に適用する。すなわち、認識とは単に世界を写しとることではなく、人間の行為に影響を与えるものでなければならない。真理とは実践上の「有用性」や「現金化」の可能性に存するのである。デューイ(John Dewey 1859~1952)は認識を行動のための道具ととらえる「道具主義」を主張するとともに、プラグマティズムの発想を社会理論や道徳哲学へと拡張した。
プラグマティズムの基本思想は、第二次世界大戦後のアメリカの哲学者たちにも受け継がれている。そうした継承者たちの思想はネオ・プラグマティズムと呼ばれる。そうした哲学者の一人にローティ(Richard Rorty 1931~2007)がいる。彼によれば、知識の基礎づけをめざした近代の認識論を批判するだけでは十分ではなく、そうした認識論的な伝統そのものを拒絶せねばならない。ローティは認識論の伝統から絶縁した哲学的解釈学の可能性を示唆する。最近では「ネオ・プラグマティズム」によって、とくにローティの立場だけを指すこともある。