一定期間、科学者集団によって共有され、そこから問いや答えが与えられるようなモデル。「範型、モデル」を意味するギリシャ語のパラデイグマ(paradeigma)に由来する。アメリカの科学史家・科学哲学者であるT. S. クーン(T. S. Kuhn 1922~96)が「科学革命の構造」(1962)で提示した概念。具体的には、コペルニクス(Nicolaus Copernicus 1473~1543)の地動説、ニュートン(Isaac Newton 1642~1727)の力学、アインシュタイン(Albert Einstein 1879~1955)の相対性理論等が挙げられる。
クーンによれば、あるパラダイムの下で科学者集団が観測や実験を進めていくと、その枠内では解決できない変則的な事例が発見される。この危機に対処するべく、新たな枠組みが現れ、競争の結果、やがて古いパラダイムが捨てられ、新しいパラダイムが共有されるようになる。このように、パラダイムが革命的に転回することを「科学革命」という。