インドの民俗宗教で、生活全般を規制する制度・法制・習俗などを含む生活法に浸透している。紀元前2000年以降に、アーリア人(Aryan インド・ヨーロッパ語族)が西北インドに進入して定着し、紀元前12世紀頃に最古の聖典『リグ・ベーダ』を編纂し、さらに前5世紀頃までに主要なベーダ(神々への讃歌と祭式規範からなる聖典)を編纂し、祭司階級バラモン(婆羅門)を頂点とするバラモン教が生まれた。後にバラモン教が非アーリア的な文化伝承や民間信仰、習俗を吸収して、ヒンズー教(ヒンドゥー教)が成立するにいたった。
二大主神ビシュヌ神とシバ神を信仰する二つの主要な派があり、業(ごう)・輪廻(りんね)の苦の世界からの救済つまり解脱を説く。代表的な哲学としては、インド思想の主流になっている高度に哲学的なウパニシャッド(奥義書)に立脚するベーダーンタ、呼吸を整え感覚や意識を統御して悟りの境地に達しようというヨガなどがあり、理論的・実践的に解脱とその方法を探究した。