サンスクリットのマンダラの音訳で、曼陀羅とも書く。「本質を得る」が本来の意味で、壇・集合(輪円)の意味もある。密教では諸尊像やその象徴的な持ち物・文字を板や布に彫ったり描いたりして本尊として礼拝する。『大日経』に基づいて仏の慈悲の働く世界を表す胎蔵曼荼羅(胎蔵界曼荼羅)と、『金剛頂経』に基づいて仏の知恵の働く世界を表す金剛界曼荼羅がある。二つ合わせて、両界曼荼羅(両部曼荼羅)と呼ばれる。中央に大日如来が描かれ、周囲に諸仏、諸菩薩、明王、諸神、そして亡霊や鬼まで体系的に配され、そのすべてが大日如来の働きを表すと考えられている。
日本には空海が中国の両界曼荼羅を東寺に伝えて以来、これを模したものが多く描かれ、また春日曼荼羅のような神仏の配された垂迹曼荼羅も作成された。曼荼羅の幾何学的な図形やシンボルは、ユング派の深層心理学によって無意識の心の働きを表す原型的なイメージとして研究されている。