沖縄の民俗信仰。ウタキ(御嶽)は集落から離れたところにある小高い丘や小さな森などで、地域の守護神が宿るとされ、祭祀の執行される聖地である。ウタキと並んで、ウガンジョ(拝所)も祭祀の行われる場であり、石碑や祠(ほこら)が置かれている。集落の祭祀を執行するのはノロ(「祝女」の字を当てることもある)と呼ばれる女性神官である。他方、個人的な祈願や祈祷などは、ユタと呼ばれる女性シャーマンが担っている。これらは神人(カミンチュ)と呼ばれることもある。屋敷内には位牌(トートーメ)を安置した仏壇があり、ファーフジ・グァンス(先祖崇拝)の場となる。今日では火葬が多くなっているが、南西諸島にはかつて洗骨(シンクチ)の風習があった。墓に遺体を納めて、3年ほどたった後に、遺体を取り出して骨を洗い浄め、甕(かめ)に納めて墓の中に安置する。別の墓に納めることもある。死者の霊は三十三回忌を過ぎると神になるとされ、先祖の霊と一体化する。日常生活では、旧暦の1日と15日に、おもに女性たちが、仏壇の位牌と台所に祀(まつ)った火の神(ヒヌカン)に向かって、家内安全や身体堅固などを祈願している。沖縄では、位牌や屋敷、財産の継承は直系男子が原則であり、女性による継承はイナグ・グァンス(女先祖)と言って忌避される傾向が強く、現民法に反するため社会問題になっている。