2006年上半期(第135回)の芥川賞は伊藤たかみの『八月の路上に捨てる』に決まったが、受賞決定の発表の時に、作家の角田光代と結婚していることを公表して、夫婦作家として話題となった。角田は05年下半期の直木賞受賞作家で、夫婦で芥川賞・直木賞を受賞したのは史上初であったからだ。夫婦ともにフリーター小説を書いているということにも、関心が向けられた。夫婦二人ともに直木賞受賞というのは小池真理子・藤田宜永の夫婦がおり、一方が芥川賞受賞の夫婦作家として津村節子・吉村昭(06年7月没)がいて、一方が直木賞受賞は佐藤愛子・田畑麦彦がいた。
芥川賞の候補となった夫婦作家には曾野綾子・三浦朱門の夫婦がおり、これらのいずれの夫婦の場合も、妻のほうが先に受賞したり、知名度が高かったりするのが、不思議な共通項。文学では‘婦唱夫随’が一般的ということか。武田百合子、高橋たか子のように、夫の武田泰淳、高橋和巳の死後、作家としてデビューするというケースもあった。最近では、佐藤友哉・島本理生などのケースがある。