インターネット検索の大手グーグル(Google)が、アメリカの大学図書館と提携して始めた書籍の全文検索サービスにおいて、その前提となる蔵書のデジタル化について、2008年10月に米作家組合及び米国出版社協会と合意した著作権(→「著作権/引用」)などに関する和解案。これが他国の書籍にも影響が及ぶことが明らかとなり、日本の著作権者たちもその対応に追われた。グーグルの示した和解案は、米国で販売されていない本を絶版とみなすなど、他国の著作権を無視するような条件となっており、日本のみならず、ヨーロッパでも反対と抗議の声が強まり、09年11月、グーグル側は、アメリカ、イギリス、カナダ、オーストラリアの4カ国以外の国の本は対象としないことを表明し、一応、騒動は収まった。日本では、文芸家協会、ペンクラブ、出版社団体などで対応にばらつきがあり、今後の書籍のデジタル配信や、国会図書館の蔵書デジタル化の動きに対しても、著作権者の権利を守る体制の確立に不安を残す結果となった。