村上春樹(→「ムラカミ・ハルキをめぐる冒険」)の新作小説。「BOOK1」と「BOOK2」とが、それぞれ100万部以上の売れ行きを示し、2009年のベストセラー第1位となった。10年4月には、「BOOK3」の刊行が予告されている。女性必殺仕置人の青豆と、女高生作家のゴーストライターの天吾が、月が二つ出ている世界で擦れ違いを演じる話である。奇妙な題名は、ジョージ・オーウェルの近未来(すでに近過去だが)小説「1984年」から取ったもので、9がQ(Question)に置き換わってしまった別世界の出来事ということになっている。翻訳権料の高額化や、研究本、謎解き本などの簇出(そうしゅつ)が話題となり、社会的現象となったのは、「ノルウェイの森」(1989年)や「海辺のカフカ」(2002年)の時と同様だった。