2010年に開かれた国際ペン東京大会では、「環境と文学」が、メーン・テーマとされた。それに合わせて、国際ペンの日本センターである日本ペンクラブは「日本の環境文学100選」を選定し、目録を作製した。環境文学は、近代化に伴う環境破壊に対して、自然や動植物、生活の環境を守り、自然そのものを描くというアメリカの「ネイチャーライティング(nature writing)」から発展した概念。日本では立教大の研究者を中心に「文学・環境学会」が創設されている。水俣病の公害を告発した石牟礼道子の「苦海浄土」(1969年)などが環境文学の先駆とされるが、近代初期に、自然の美しさや風景を描いた国木田独歩の「武蔵野」(初出1898年)なども、日本の環境文学の祖とされる。