第148回(平成24年下半期)の芥川賞は、黒田夏子の「abさんご」、直木賞は朝井リョウの「何者」と、安部龍太郎の「等伯」が受賞した。黒田夏子は、満75歳での受賞で、これまで最高齢だった森敦の60歳をはるかに越える記録となった。ちなみに、最少年齢は綿矢りさの19歳。「abさんご」は、横書きでひらがなの多い、固有名詞や外来語を使わない特異な実験的文体で、その前衛的な試みが高く評価された。直木賞の朝井リョウは満23歳で、直木賞受賞者としては戦後最年少。戦前を含めての最年少は第11回(1940年上半期)に受賞した堤千代の22歳。両賞の選考委員は、選考では年齢は考慮されなかったと語った。「何者」は、若い世代の就活などのテーマを扱い、若者世代の共感を呼ぶと評価された。「等伯」は、「松林図屏風」を描いた安土桃山時代の絵師、長谷川等伯を主人公とした時代小説。なお、上半期の第147回は、芥川賞が鹿島田真希の「冥土めぐり」、直木賞が辻村深月の「鍵のない夢を見る」だった。