2013年4月に刊行された村上春樹の新作長編。文藝春秋から発売され、発売7日目で100万部を突破した。シロ(白根)とクロ(黒埜)とアカ(赤松)とアオ(青海)という色彩名を持った姓の4人と、色彩を持たない多崎という姓の5人が高校時代からの仲良しグループだったのに、多崎一人だけがそのグループから外される。彼は、社会に出て、駅舎の設計技師となってから、その理由を尋ね回ることにする。発売まで、題名しか発表しないという前宣伝のやり方や、ノーベル文学賞候補という評判もあって、全体に沈滞化していた文芸の世界においては、異例のベストセラーになった。同年中に韓国語、スペイン語、中国語など7カ国語、翌14年1月にはオランダ語、ドイツ語訳も出たが、英語版が14年8月となり、前作の「1Q84」のような世界的ブームとはならなかった。