象徴。抽象概念や価値などを具体的な事物や感覚的形象により、間接的に表現するもの。言語、哲学、芸術、宗教、心理学など、幅広いジャンルで使われる。たとえば中世ヨーロッパでは、ライオンが王権、白が純潔を表す。「ペンは剣より強し」と言えば、ペンは言論、剣は武力を象徴する。文学における象徴主義は、主観を強調し、人の内面世界や情趣を、写実よりも装飾性、神秘性、幻想性などを高めた暗示や象徴によって表現しようとする運動で、詩、小説などの一つの作品全体が、ある観念(愛とか、正義とか、葛藤とか)を、シンボリックに表出しようとする方法論をいう。ボードレールの「悪の華」(1857年)を端緒とし、これに影響を受けたランボー、ベルレーヌ、マラルメなどの19世紀末フランス詩人たちが受け継いで発展させ、やがて美術や音楽にも幅広い広がりを見せた(→「自然主義/反自然主義」)。