頭部に通電することで人為的に痙攣(けいれん)発作を誘発し、大うつ病や躁うつ病などの気分障害などの精神疾患を治療する医学的方法である。薬物療法の効用が見込めなかった場合に、患者とその家族や保護責任者にインフォームドコンセントを取り付け、同意を得た上で使用される。電気痙攣療法には認知機能障害(→「統合失調症」)の副作用が出る場合があるが、即効性があり、薬物を長期服用することで生じる依存性などの問題がないため、最近は麻酔をかけた無痙攣の修正型電気痙攣療法も活用されている。その他、新しいうつ病の医学的治療として、頭蓋骨(ずがいこつ)の外から、背外側前頭前野に磁気刺激を照射することで、不安感や焦燥感を取り除き、判断能力や意欲を向上させる経頭蓋磁気刺激療法がある。電気痙攣療法よりも副作用が少なく、簡便で安全性が高いため注目されているが、長期的使用に関する効用・副作用の検証はこれからである。