そううつ病と並ぶ二大内因性精神病の一つ。以前は精神分裂病と呼ばれたが、スティグマ(社会的レッテル)の強さから、2002年に改称された。統合失調症の症状は、幻覚、妄想、自我障害に代表される陽性症状と、感情の平板化、意欲の低下に代表される陰性症状、記憶力、注意力、判断力の低下などに代表される認知機能障害(cognitive dysfunction)に大別される。認知機能障害は、従来は陰性症状として扱われていたが、日常生活を送るにあたっての認知スキルが阻害され、生活に困難をきたすものであるとして、独立して扱われるようになった。治療法は、薬物療法主体で、支持的な精神療法と社会復帰のためのリハビリテーションを組み合わせる。再発防止のためには認知行動療法が有効で、妄想や幻覚のコントロールのための認知技法、適切な行動確立・維持のためのオペラント技法、トラブルへの対処技能を学ぶ社会スキル訓練が有効である。生活能力はそれほど損なわれていない妄想型の場合、生活体験の中で理解可能な妄想様の思考との鑑別が重要である。認知機能障害については1990年代より認知的リハビリテーションや認知機能改善療法による支援が試みられている。