日本では、ろう児の学校教育で手話は公式には使用されていない。日本における手話の社会的地位からして、これからはろう教育における手話の導入と確立が最優先課題となる。聴覚障害児教育の変革の原動力となっているのは、スウェーデンやデンマークで実施されている「ろう児のバイリンガル教育」 ( bilingual education of deaf children )の成果である。手話をろう児の第一言語と認識し、手話で音声言語の読み書きを教えるというバイリンガル教育は、大きな成果を収めている。全日本ろうあ連盟が運営する日本手話研究所は、新たにろう教育研究部を設け、聴覚障害児教育の専門的研究を始めた。手話による早期教育の方法を研究し、教材を開発し、その成果を報告している。また、ろう学校小学部で使用している国語教科書を手話に翻訳する作業も進めており、完成したビデオ教材はすでに数校のろう学校で実験的に使用され始めた。