ろう者の手話を、その国の公式の言語として認定するための法律。30カ国がこのような法律をもつと言われる。最近では、ニュージランドが2006年にこれを制定している。そこでは、ろう者のために行政機関で手話の使用を導入し、それに必要な手話通訳者の養成をはかるとうたっている。日本でも、ろう者のあいだで、手話言語法を求める動きが出ている。これに関連して、国連障害者権利条約(2006年)では、手話をろう者の言語であると明記している。現在、90カ国以上がこれを批准している。人間は生物学的特徴として、生まれながらにして言語をもっている。失聴はこの言語とはほとんど関係がない。ろう者は音声言語の運用に困難であるため、概念を手と顔の表情を使って空間に転写する手話言語を発達させた。言語学者による手話研究も進み、手話の言語学的特質も徐々に明らかにされている。手話は自己を適切に、そして高度な知的、情緒的活動を十分に表現しうる言語組織をもっていると考えられる。新しい時代の新しい言語生活のなかで、ろう者は今後ますますこの仕組みを最大限に利用していくものと期待される。手話は人間のもうひとつの言語であり、人類全体の遺産である。ろう者がこれを自由に使う権利は保障されなければならない。