原史/原文献時代1。ここでは弥生時代を紀元前10世紀後半から後3世紀前半までとして記述する。弥生時代は、本格的な新石器時代(初期農耕社会)の始まりである。また弥生時代は東アジアの国際的な関係が強まる中でスタートしたが、その発信源である中国はすでに新石器時代をはるか以前(紀元前2000年頃)に脱して、都市を営み戦争を行う文明社会を形成していた。そのためその情報を積極的に受け入れた弥生時代の日本列島中央部はヨーロッパにおける新石器時代・青銅器時代・鉄器時代の変革をまとめて経験することとなった。弥生時代の社会は、最初は郡程度の広さの小さな政治的まとまりができて、戦争や外交手段を通じて再編淘汰が進み、日本列島中央部に一つの政治的連合体ができあがるまでの段階である。このことは日本列島の北・中央・南が違った歴史を歩む端緒でもあった。この弥生時代の社会については、首長制と評価する考えと、初期国家と評価する考えがあり、弥生社会の歴史的位置の複雑さを反映している。