奈良県橿原市にある日本で最初の本格的な古代都城跡藤原京(694~710年)の中枢部。奈良文化財研究所が調査して、大極殿(天皇が政務・儀式のために使う重要地区)の南門を調査して東西約39m、南北約14mの基壇(建造物の基礎)と、その南北に取り付けた石段を見つけた。また門から続く回廊(土塀兼通路)の下から、水晶と日本最古の通貨である富本銭を入れた須恵器の壺が見つかり、日本書紀に西暦692年に執り行われたと記録する、藤原の宮地(みやどころ)での鎮め祭る儀式(地鎮祭)に使用したものと推定される。地鎮の発掘例として、現在、これが最古のものである。また、大極殿南門の南の石敷広場の、南門から約30メートル離れた場所に、縦1メートル、横2メートルの幡(はん/はた)を立てるための穴が8カ所東西に並ぶことが分かり、幡穴は本来13カ所あったと復元されている。「続日本紀」に、大宝元年(701年)に、元日朝賀の儀式で大極殿の前に四神(方位の神)を描いた幡を立てたとする記録があり、幡は重要な国家的儀式の場を荘厳にするためのものであったと推定できる。