福井市市街の東南約10キロ、一乗谷川の谷底平野にある戦国大名朝倉氏の城下町であり、国特別史跡に指定されている。福井県立一乗谷朝倉氏遺跡資料館が発掘調査して、ガラス工房跡が見つかった。ガラス工房は城下町の南の武家屋敷内から見つかり、ガラス玉90点、溶解ガラス65点、石英、鉛などが出土している。中世後期(室町・戦国時代)の溶解ガラス片は、青森県浪岡城、沖縄県首里城から見つかっているが、はっきりとしたガラス工房としては初めての発見である。なおガラス製品は弥生時代から奈良時代にかけて国内で生産されたが、平安時代に衰退して江戸時代に復活するまで、もっぱら輸入品を用いたと考えられていた。戦国大名は一般に色々の分野の職人を集めたが、朝倉氏がガラス工人や原料をどのようにして確保し、ガラス玉類をどのように使ったかの解明が待たれる。