京都市の中心部、鴨川と桂川に挟まれた地区にある最後の古代都城(首都)。桓武天皇(737~806)が、794年(延暦13)に長岡京から遷都して成立した。平面形は東西4.5キロメートル、南北5.2キロメートルの長方形であり、北端中央に平安宮(内裏と役所地区)を配置して、残りの地区を碁盤の目状に区画する唐(から)風の都市であった。その後、右京が廃(すた)れて左京や鴨川の東地区が栄えるなど平面形の変化があり中世京都へと変容したが、古代都城の中で唯一、近代まで都市景観を維持した。平安京域ではどこを調査しても古代~近現代の遺構・遺物が大量に見つかるが、2011年には京都市中京区JR二条駅西の地区を京都市埋蔵文化財研究所が調査して9世紀の貴族邸宅(右大臣藤原良相〈よしみ〉邸)が見つかった。ここからは、神楽(かぐら)歌ほかを平仮名で墨書きした9世紀後半の土器がみつかり、最古級の平仮名資料となっている。