奈良県明日香村にある7世紀後半の古墳(檜隈大内陵〈ひのくまおおうちのみささぎ〉)。1235年の盗掘の記録(阿不幾乃山陵記〈あおきのさんりょうき〉)などから、本古墳が八角墳であり二つの石室をもち、天武・持統天皇合葬陵と推定されてきた。2013年、宮内庁の福尾正彦陵墓調査官が、宮内庁による立ち入り調査の成果をまとめて論文として発表した。それによると野口王墓古墳は、5段の八角墳であり最上段が他の段より高く、墳丘の全面に凝灰岩切り石を張り付けていたという。規模は、最下段の1辺が約15メートル、高さ7.7メートルであるという。これによって本古墳が、天武・持統天皇合葬陵であることがより確かとなり、また墳丘の表面を凝灰岩切り石で化粧する手法が天武天皇に始まることも明らかになった。