2008年9月13日公開の滝田洋二郎監督作品。所属する交響楽団の解散で、東京から故郷の山形県庄内に妻とともに戻った元チェリストが就職した先は、遺体の納棺作業を行う会社だった。人間の死、尊厳、そして生きる意味をテーマに、ユーモアと親子、夫婦のきずなを織り込んで描き、ほとんどの人が知らなかった納棺師という仕事を本木雅弘が鬼気迫るような演技で紹介したことも注目される要因となり、予想を上回る興行成績をあげた。同年9月の第32回モントリオール世界映画祭の最高賞のグランプリを獲得し、世界各国へのセールスも順調に推移した。09年2月20日、第32回日本アカデミー賞の最優秀作品賞をはじめ最優秀監督賞、最優秀主演男優賞など10冠に輝き、同年2月22日のアメリカの第81回アカデミー賞の外国語映画賞を受賞した。日本映画の同省受賞は名誉賞と呼ばれていた1955年の稲垣浩監督作品「宮本武蔵」以来55年ぶり、正式部門となってからは初めてのこと。このアカデミー賞効果で、1年以上も劇場公開が続き、64億6000万円の興収をあげ、観客動員も570万人を超える大ヒットとなったほか、受賞した映画賞も90を超えている。