アメリカのメジャー会社が自国以外の国で地元の製作プロと提携して映画を作るケースが増えている。ソニー傘下のコロンビアはアジアで「グリーン・デスティニー」(2000年)、「ダブル・ビジョン」(03年)を製作し、ソニー・ピクチャーズエンタテインメントも日本のアニメを手がけ、WB(ワーナー・ブラザース)も「さくや 妖怪伝」(2000年)、「DEATH NOTE デスノート」(06年)、「最後の忠臣蔵」(10年)などを製作して実績を残している。20世紀フォックスは、11年10月1日公開の「はやぶさ HAYABUSA」(堤幸彦監督)で日本映画の製作に本格的に参入。現在、同社はインド、中国、ブラジル、ロシア、イタリア、スペイン、韓国、日本の8カ国で映画製作を行っている。20世紀フォックスはこれまで「群青 愛が沈んだ海の色」(09年)、「サイドウェイズ」(09年)などにもかかわっていたが、自ら製作を指揮することで、コンテンツ戦略の一環としてフィルム・ライブラリーを充実させる狙いがある。製作委員会方式という日本のシステムを取り入れ、監督・メーンキャストを決定し、台本の開発をプロデューサーと共同で進め、製作の窓口となる20世紀フォックス・インターナショナル・プロダクションズ(FIP)で資金集めを行う。必ずしも20世紀フォックスが配給するとは限らず、韓国で製作された「哀しき獣」(12年)は日本ではクロックワークスが配給している。12年秋には、道尾秀介の小説を映画化した「カラスの親指」(伊藤匡史監督・阿部寛主演)が公開予定。