MPAA(Motion Picture Association of America)が発表した最新統計2010年度版によると、カナダを入れた北米市場における10年の興行収入(→「配収/興収」)は105億7050万ドルで09年と変わらないが、入場者数は13億3900万人で、前年よりも5%少なかった。人口の3分の1が年に少なくとも1回は映画館に行っていることになり、年齢層では10歳代から30歳代までで40%を占めている。10年に公開された作品数は560本。そのうち3D映画は25本だが、興収では21%を占めており、その額は前年よりも91%増加している。映画料金は平均で7.89ドルで、前年比5%増。映画スクリーン数は1~4スクリーンが8345、5スクリーン以上が3万1202で、総計は3万9547。タイプ別に見るとアナログスクリーンが2万3773で、09年よりも8042も減り、代わりにデジタルへの転換が急速に進んでいる。デジタルスクリーンは全部で1万5774で、うち3Dが7837、それ以外が7937となっている。別の最新映画統計(11年)によると、11年にアメリカで公開された映画は全部で598本、全興行収入は101億8000万ドル(推定)で、前年と比べて3.7%の減少。入場者数も4%減って12億8000人だった。10年は「アバター」が大ヒットして興収の総額をかさ上げしていたと考えれば、とんとんの成績といえる。平均入場料金は微増の7.96ドルだが、競合エンターテインメント産業のフットボール、バスケットボール、ホッケー、野球、テーマパークの入場料金と比べると、まだまだ安い。興行成績のトップ5は「ハリー・ポッターと死の秘宝 PART2」(3億8101万ドル)、「トランスフォーマー/ダークサイド・ムーン」(3億5239万ドル)、「トワイライト・サーガ/ブレイキング・ドーン Part1」(2億7344万ドル)、「ハングオーバー!! 史上最悪の二日酔い、国境を越える」(2億5446万ドル)、「パイレーツ・オブ・カリビアン/生命の泉」(2億4106万ドル)。興収トップ10本のうち、続編でないのは2本のみ。その2本「マイティ・ソー」「キャプテン・アメリカ ザ・ファースト・アベンジャー」はともにマーベル・コミック(Marvel Comics)の映画化だから知名度は高く、アメリカでもオリジナル脚本による冒険を避ける傾向が強いようだ。さらに3D作品の興行力が低下し、飽きられている兆しが見えるのも気になるところだ。