メジャー(大手)と比べて規模が小さく、自前の配給網も持たない映画会社のことで、監督やスターが主宰するものも少なくない。製作本数も少なく、一本あたりの製作費もメジャーと比べると低額で、セールスに役立てようと各地の映画祭に出品することも多い。拡大公開されることもほとんどないが、オフビートな題材を取り上げることがしばしばあり、ときには作り手の芸術的ビジョンが傑出した作品が生まれることもある。日本では東宝、松竹、東映、KADOKAWAといった日本映画製作者連盟(映連)に属さない小規模の会社をさし、独立プロともいう。1950年代、社会的なテーマを押し出した作品を作ろうという機運が高まり、「暴力の街」「真空地帯」「キクとイサム」などが作られたが、経営は難しく、短期間で消えていった。そのなかで、50年に新藤兼人、吉村公三郎らが創設した近代映画協会は時にはメジャーと提携しながら存続している。他にも独立プロ56社が集まる日本映画製作者協会があり、メジャーの単独製作が減る中、日本映画の大半に同協会所属の独立プロがかかわっている。アメリカではMPAA(Motion Picture Association of America)に所属するワーナー・ブラザース、ソニー、パラマウント、ユニヴァーサル、二十世紀フォックス、ディズニー以外の会社をさす。80~90年代に独立系の雄として知られたミラマックス、ニューラインはメジャー傘下となったが、たえず独立映画会社は生まれては消え、淘汰(とうた)されている。独立プロには、企画の開発費用や製作の準備資金と引き換えに、配給するかしないかを最初に決定する権利を与える、ファースト・ルック契約をメジャーと結んでいるところも多い。