2015年4月、東京・新宿のコマ劇場及び東宝会館跡にTOHOシネマズのシネコン(12スクリーン、2300席)が建造され、屋上に高さ12メートル、地上からは52メートルになるゴジラの大型モックアップが設置されて客寄せに一役買っている。TOHOシネマズは14年に日本橋にもシネコン(9スクリーン、1770席)を新設し、メディアメイション社(アメリカ)が開発した体感型4Dシアターシステム「MX4D」(→「4DX映画(4DXシネマ)」)設備を全10館に積極的に導入したり、市場の拡大に努めている。一方で、韓国・中国香港映画の拠点だったシネマート六本木が6月に、ミニ・シアター・ブームの旗振り役でもあった渋谷のシネマライズが16年1月に閉館するなど、特色ある映画館が減っている状況もある。13年にイオンシネマズがワーナー・マイカルを合併してイオンエンターテイメントとなり、14年にはローソンが業界3位(331スクリーン)のユナイテッド・シネマを買収と、流通業界が映画興行へ進出してきた。映画館との相互送客の実施のほか、動員力の向上、稼働率向上をめざすという。映画スクリーン数の多い順にあげると、イオンシネマズの684に続いて、2位TOHOシネマズ(626)、4位MOVIX(268、松竹系)、5位109シネマズ(164、東急)、6位ティ・ジョイ(162、東映)となっている。近年、映画製作をとりまく環境は厳しさを増し、DVD製作、映画配給宣伝を手がけていたエプコットが15年3月に、「リング」「らせん」といったホラーを手がけた製作会社オズが同年9月に、アニメ「サムライチャンプルー」を手がけたマングローブも同じ9月に倒産。アメリカ・メジャーのパラマウントの日本法人も閉鎖し、同社作品は、以後東宝東和が配給することになった。