2017年10月、インディ系映画会社ザ・ワインスタイン・カンパニー(TWC)を経営するハーベイ・ワインスタインに80人を超す女性がレイプ、セクハラを受けたと訴えたことがきっかけで、ハリウッドに嵐が吹き荒れた。ケビン・スペイシー、ダスティン・ホフマンら有名スターもセクハラ行為を告発された。ワインスタインは自分が創業したTWCから解雇され、英米のアカデミー賞協会、製作者協会から除名され、フランス政府はレジオンドヌール勲章の剥奪を発表。刑事事件として捜査が始まり、民事訴訟も起こされている。映画やテレビ作品が製作中止になる事態にも発展し、スペイシーが主演していたネットフリックス(→「インターネット映画配信」)のテレビドラマ「ハウス・オブ・カード 野望の階段」も打ち切られ、会社から休職処分を言い渡された製作幹部も出た。映画、テレビ界だけでなく、クラシック音楽の世界でもジェームズ・レバインやシャルル・デュトワなどの巨匠に同様の訴えがなされている。セクハラ被害にあった女性らが羞恥心を抑えてSNSなどで「私も被害者」と訴える「#Me Too(#MeToo、#metoo)」の運動も広がった。17年末には被害者の訴訟支援のための基金が設立され、13日間で約1400万ドルが集まったという。翌18年1月8日のゴールデン・グローブ賞授賞式では、多くの女優が黒いドレスを着て、セクハラへの抗議と被害者への連帯を示した。