ロシアの劇作家(1860~1904)。モスクワ大学の医学部で学びながら、生活を支えるために多くの短編小説を書いて名声を得る。開業後も創作を続け、戯曲にも筆を染めた。一度は失敗に終わった「かもめ」がモスクワ芸術座によってその真価を発揮したために同座との結びつきが深まり、闘病生活の中で「三人姉妹」「桜の園」を書いた。これらの作品は、20世紀以降世界中で愛され、繰り返し上演されてきた。ことに日本では、新劇運動の中でリアリズムを基本とした近代演劇の代表的作品として重視され、さらに独特の哀感が日本人の情緒に強く訴えた。その一方で作者自身の性格や志向にある「喜劇性」に注目する解釈もされている。