江戸三座の一つで代々の中村勘三郎が座元を務めた中村座を模して造られた仮設の劇場。2000年11月に東京・台東区の隅田公園内に設けられ、18代目中村勘三郎(当時・勘九郎)主演「隅田川続俤(すみだがわごにちのおもかげ)・法界坊」でこけら落としを飾った。その後、大阪・扇町公園や台東区・浅草寺境内でも公演を行ったが、04年7月にはこれをニューヨークのメトロポリタンオペラシティの隣接地に運び、串田和美演出でコクーン歌舞伎でも手がけた「夏祭浪花鑑(なつまつりなにわかがみ)」を上演した。歌舞伎のアメリカ公演は1960年が最初で、以後何度も行われているが、日本でも珍しい江戸の芝居小屋に近い劇場を移設して時代気分を味わわせる一方、幕切れには現代アメリカの警官が登場するなどの斬新な演出で、観客の熱狂的な喝采を浴びた。2008年10月には、再び浅草寺境内に戻り、「通し狂言 仮名手本忠臣蔵」を上演した。