1915年11月12日生まれ。1929年、17期生として宝塚歌劇(→宝塚歌劇団)の初舞台を踏む。同期に葦原邦子(あしはらくにこ)、富士野高嶺(ふじのたかね)がいる。早くから男役として注目を集め、33年には新設の星組に配属される。その後各組で主演を重ね、専科に移籍後も宝塚を代表とする男役として活躍する。代表作に「虞美人」「リラの花咲く頃」「ダル・レークの恋」「メナムに赤い花が散る」などがあり、高貴な美貌から「白薔薇の君」と称された。なかでも「源氏物語」の光源氏では他の追随を許さない完璧なイメージを作り上げた。そうした二枚目役からりりしい武将のような役柄まで、宝塚歌劇における男役の典型を確立して、後進に大きな影響を与えた。外部の舞台や映画への出演もこなし、ともに歌劇団理事となった天津乙女(あまつおとめ)、神代錦(かみよにしき)の亡き後は、常に式典舞踊などの中心に位置し、劇団員全体の代表であり支柱でもあった。79年紫綬褒章。2012年8月29日死去。