正しくは「劇場、音楽堂等の活性化に関する法律」(2012年6月27日施行)。音楽・舞踊・演劇・伝統芸能・演芸などを「実演芸術」とし、それらを上演する場としての「劇場・音楽堂」(文化会館・文化ホールなども含む)の在り方を定めた法律。その活性化、相互の連帯協力、水準の向上などは、もとより望まれたことであるが、ここに示された重要な点は、必要な指針を国が作成した上で、財政的支援も含めた国と地方自治体の関与を明確にし、運営における専門家の配置・養成に言及している点であろう。これにより、公共の博物館・美術館・スポーツ施設などと同様に、指定管理者として専門的な知識・経験を有する個人や団体が運営にあたり、予算を重点的に配分することによって、貸館中心の運営から、より創造的な活動への転換が期待される。一方で、多数の施設からいずれを拠点とすべきか、責任者(芸術監督)の選定と権限、そのための人材の確保と養成、民間団体への補助とのバランスなど、効果的な実施のために検討すべき点も多い。