2008年7月、謎の浮世絵師として知られる東洲斎写楽の肉筆扇面画が、ギリシャ北西部のコルフ島にあるアジア美術館に所蔵されていることが分かった。写楽の肉筆画はきわめて少なく、とても貴重な発見となった。扇面には、「仮名手本忠臣蔵」二段目から取材した四代目松本幸四郎演ずる加古川本蔵と、松本米三郎による本蔵の娘、小浪が描かれている。この作品を含め6000点にものぼる日本の美術工芸品を収集したのは、ギリシャ人外交官グレゴリオス・マノスで、彼は19世紀末にウィーンやパリで収集に専念し、その後、コレクションをギリシャ政府に寄贈、1928年にこのコレクションをもとにアジア美術館が開館されたという。